せっかく健のことを忘れることができたのに、どうしてこんな場所で会ってしまうんだろう。


よりによって、合コンの話を聞かれるなんて最低だ。


私は健を無視してテーブルの料理へ向き直った。


相手にすればイライラするに決まっている。


「お前、そんなんだからダメなんだぞ」


ため息交じりの健の言葉が後ろから聞こえてくる。


それは健に何度も言われた言葉だった。


しっかりしてない。


几帳面じゃない。


お前女だろ?


そんな風に言われてきた。


だけど、今健のとなりに立っている女が几帳面そうには見えなかった。


もしかしたら健は自分よりもできない女を選んで、上から助言するのが好きなのかも知れない。


そうやって、自分のプライドを保っているのだ。


「ねぇ、この子たち誰?」


健の隣で女が甘ったるい声を出す。