Graduation~3年後の「これって・・・」~

「三浦さん。」


「はい。」


「それじゃ。」


「・・・うん・・・。」


最後なにか言われるかと、身を固くしたけど、それだけ言うと、彼はあっさりと回れ右して、私から離れて行く。拍子抜けしたように立ち尽くす私の耳に


「いいの?このまま彼を行かせて。」


美奈の声が聞こえて来る。


「うん・・・。」


「紗月・・・?」


「仕方ないよ。彼にとって、私はちょっと縁が深かったクラスメイト。それ以上でもそれ以下でもないんだから。」


寂しそうに言う私の横顔をしばらく見ていた美奈は


「それが紗月の答え、か・・・。」


とつぶやくように言った。


「えっ?」


「告白するのって凄く勇気がいるんだよ。だって絶対にうまく行く保証なんてどこにもないんだもん。誰だって振られて傷つきたくない、悲しい思いをして、泣きたくないもん。だから思いを伝えることを躊躇い、思い留まろうとする。違う?」


「・・・。」


「それでも、最後はその思いを抱えきれなくなって、どうしても相手に思いを伝えなくてはいられなくなって、人は傷付くことも泣くことも覚悟して、告るんだよ。でも紗月はとうとう言わなかった。『部活が』『受験が』そして『彼が私に興味がないから・・・』そう言い訳して、逃げて来た。」


「美奈・・・。」


「厳しいことを言うようだけど、紗月の岡野っちに対する気持ちなんて、結局その程度のものに過ぎなかったんだよ。そして紗月にその程度にしか想われなかった岡野っちも、所詮は紗月の横にいるにふさわしい男じゃなかったってこと。それが結論だね。」


美奈の言葉に、でも一言の反論も出来ずに、私は俯く。


「ごめんね、ちょっと言い過ぎたかな。でも8年間の腐れ縁もこれで切れて、紗月には4月から新しい出会いが絶対に待ってるから。それに向かって行こう。」


「そっか・・・そうだよ、ね・・・。」


泣き笑いの顔で頷く私。


「さ、帰ろう。さすがにお腹すいた、なんか食べて帰ろう。」


「うん。」


そう言い合って、歩き出した私たちが3年間通り慣れた校門を出た直後だった。