例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う

『以前、荒らされた下駄箱の前に立ち尽くしている生徒を目にしました。その生徒は心に深い傷を負ったと思います。それでも懸命に生きようとする人を笑うような行為は、最低卑劣極まりない』



夏樹先輩の言葉に息をのむ。



『誰かを傷つけるということは、その人の人間関係や人生を大きく変えてしまいます。それでも人を傷つけたいですか? 誰かを故意に傷つけることの愚かさを自覚して欲しい』



それを伝えるために、今日この場で話すことを決意しました。

そう、夏樹先輩は言った。


ステージから降りる夏樹先輩。

拍手もなければ、歯向かう生徒もいない。

ただただ、夏樹先輩の言葉が胸に刺さった。

それは私だけじゃなくて、他の生徒も同じだろう。


私は思わず走り出していた。

生徒総会だというのに。

夏樹先輩と話したい。


そう思ったら勝手に足が動いていた。

体育館の外で夏樹先輩の姿を見つける。



「夏樹先輩っ!」

「綾瀬さん……」

「あのっ。なんで、今日スピーチを……」



私が問うと、夏樹先輩は少し悲しげに微笑んだ。

それから、場所を変えて話したい、と言ってくれた。

私は頷き、夏樹先輩のあとをついていく。


夏樹先輩が立ち止まったのは3年生の教室だった。

誰もいない教室。

多分雰囲気からして、夏樹先輩の教室だ。


夏樹先輩と向き合う。

そして夏樹先輩は想いを伝えてくれた。