例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う

「あの、綾瀬さん。……ありがとうございます」

「え?」



突然の言葉に戸惑う私。

『ありがとう』なんて、お礼言われるようなことしたかな?


そっと美波ちゃんが握りしめている手を見る。

右手には箸が握られていて。

左手のこぶしは少し震えていた。



「劇の練習のときにかばってくれたことが嬉しくて。お礼を言うのが遅くなってしまいました……」

「そんなわざわざ、」



わざわざお礼なんていいのに。

そう言おうとした言葉は美波ちゃんによってさえぎられた。



「私、幼いころから体型のことでいじめられていて。助けてほしいとは何度も願ったけれど、誰も助けてくれなくて」

「……」

「今回も嫌がらせで白雪姫役になってしまって。そんな状況で頑張っても無駄だなとか思いつつ、頑張らなきゃと思う自分もいて……」



美波ちゃんの感情が流れ込んでくる。

複雑な感情。

プレッシャー。

自分との葛藤。

その辛さは計り知れない。