3月に入り体力も少しずつ回復してきたころ。

今日から私は再び学校に通う。


私の気持ちは複雑だった。

学校に行けば、大切な人たちに会える。

だけど、やっぱり誹謗中傷を受けることは怖かった。

お母さんとお父さんに見送られ、玄関の扉を開けると。



「……おはよ」



冬弥くんが家の門の前に立っていた。

びっくりして言葉が出ないと同時に、気まずさを感じた。



「お、おはよう……」

「今日から学校に行くって、おばさんから聞いたから」



お母さん……。

冬弥くんに話したんだね……。



「優奈にとったら迷惑かもしれないけど、俺は、」

「迷惑じゃないよ」

「え?」

「……学校に行くのが少し怖かったから。待っていてくれてありがとう」

「優奈……」



冬弥くん向かって微笑む。


ただの幼なじみ。

そう思えば、気まずさも感じなくなるかも。


そう思った瞬間。

私は冬弥くんに引き寄せられるように抱きしめられた。



「ごめん。少しだけ……」



首筋に温かいものが触れる。

冬弥くんの、涙……?

なんで泣いているの……?