視界がゆがむ。

終わらせなきゃいけない恋なのに。

終わりにしたくないと思ってしまうから……。


最後に見た冬弥くんの顔を忘れることができない。

忘れなくちゃいけないのに。

もう二度と関わってはいけないのに。

分かっているのに。



「冬弥、くん……っ、」



あと一度だけでいいから。

私の名前を、その大好きな声で呼んで欲しいよ……。


私は校舎を飛び出し家まで走る。

涙がこぼれ落ちる。


未練しかない。

冬弥くんと別れた。

一方的だった。

だけど、それ以外に冬弥くんを守れる方法は見つからなかったから。


……いつも守ってばかりの私だった。

だけど、今度は私が守りたい。


だから。

私の最後のワガママを聞いてほしい……。