例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う

「他にも、自分が夢や霧の中にいるように感じる方も多いです。世界が生き生きしていなかったり、ガラス壁のようなもので周囲から隔てられていると感じたり……」

「……」

「綾瀬さんの精神状態は安全とはかけ離れています。入院の必要が、」

「入院は嫌です」

「優奈……」



入院は、嫌だ。

入院となれば、どうしても湊くんを思い出してしまうから。

記憶から消そうとしていた出来事を鮮明に思い出してしまうことが怖い。


そんなの。

私にとって悪影響だ。



「……これは保護入院です。本来なら任意入院が理想ですが」

「なにが違うんですか?」

「任意入院は綾瀬さんの同意がある場合ですが、本人にその意思はないようなのでご家族の方の同意で入院をしていただきます」



それが医療保護入院です。

と、先生は言った。


私の意志に関係なく入院させるってこと?

お父さんかお母さんが先生の話に同意してしまえば、私は強制的に入院させられちゃうってこと?

そんなの、嫌だ……。



「……分かり、ました。優奈の両親には俺が伝えます」

「冬弥くん、」

「優奈。……一度、ゆっくり休もう」



冬弥くんまで。

冬弥くんまで私を入院させたいの?

そんなのあんまりだ。


だけど、私に反論する元気はなく、私は後日入院することになった。