例え私が消えたとしても俺は君の隣にいると誓う

あの日。

湊くんと駅前で合った日から笑えなくなってしまった。

この海まで来る途中の新幹線の中でも、頑張って笑顔を作っていた。

新幹線の中、隣に座っていた美波ちゃんはそんな私に気が付いていたのだろうか。


そんな私とは真逆な湊くん。

湊くんは美波ちゃんと一緒に、海を目の前にしてはしゃいでいる。

湊くんはあのとき話した内容を忘れてしまったのだろうか。

だから、あれだけ楽しそうに笑っているのか。

それとも、結局他人の話だから笑えているのか。


……分からないけど。

もやもやと黒い感情が私の心の中に広がる。

心の中に煙が充満して呼吸が苦しくなる感覚。

あれだけ楽しみにしていた旅行なのに、これからの2日間、全く楽しみが見えてこない。

重症だ。



「先にホテルに荷物を置いて、また海に来ましょう!」

「そうだね。そうしよう」



美波ちゃんの言葉に頷く湊くん。

冬弥くんも頷き、私たちは宿泊先のホテルへ向かう。


海沿いにある高級ホテル。

大きいしきれいな、立派なホテルだ……。