「私たち、別れよう」



放課後の静かな教室。

窓から差し込む夕日がなんだか切ない。



「な、んで……」



揺らいでいる彼の瞳。

……そんな顔をしないでよ。

終わらせなきゃいけない恋なのに。

終わりにしたくないと思ってしまうから……。



「そういうことだから……」

「ちょっと待てよ、」



私は彼の言葉を聞きたくなくて、教室を飛び出した。


視界がゆがむ。

目に涙が浮かぶ。

最後に見た彼の顔を忘れることができない。

忘れたくても思い出してしまう。

忘れなくちゃいけないのに。

もう二度と関わってはいけないのに。

分かっているのに。


あと一度だけでいいから。

私の名前を、その大好きな声で呼んでほしいよ……。