驚愕の告白から、やっと落ち着きを取り戻したあたし達は、急ぎ歩みを進めた。

 ボーダー・コリーのアイガーが待つ場所までは、ひたすら鬱蒼とした森が続いている。緑色の繁みと幹の茶色が交錯する中、明らかに異質な白黒を遠くに見つけた。アイガーも気付いたんだろう、こちらを見詰めて一吠えし、その尻尾はちぎれそうなほど振られていた。



「アイガー! 元気だったー!? ごめんねーお待た……せっ!!」

 最後の台詞が途切れたのは、アイガーに飛び掛かられて草むらに倒れ込んじゃったからね。ココにピータンがいたら、もう二匹の興奮は冷めやらなかっただろうな。ピータンは……そしてパパは、一体何処まで登ってしまっただろう? あたし達が追ってきたことも、ツパおばちゃんのように気付いただろうか?

「三人分となるとなかなかの荷物ですね。今日は出来るだけ進みたいので……アシュリー、ルクアルノ、とにかく頑張ってください。では行きますよ、リルヴィ」
「え? あ、はい」

 アイガーに頬を舐められまくったあたしに、ツパおばちゃんは声を掛けてスタスタと歩き出してしまった。その後に続く大荷物のアッシュとルク。あたしは後ろから駆け寄って「一つくらい持つわ」と手を伸ばしたけれど、どちらも笑顔で「大丈夫」とだけ言い、何も持たせてはくれなかった。