「あっ! そう言えばルクは!?」

 あたし達の成功を見届けた後に飛び出す予定だけど、逆側の扉からなのだから遠く離れてしまうかも知れない。

 視界には見つからないので、首をひねってキョロキョロと見回す目の端に……手足をバタつかせながら上からルクが降ってきた!?

「「ルクっ!!」」
「に、荷物が引っ掛かって──」
「「え──!?」」

 そんなやり取りをしながらもドンドン小さくなっていくルク! このままパラシュートが開かなかったら、彼の運命は!?

「荷物を捨てろ、ルクー!」

 アッシュの言葉を理解した姿から、荷物らしき影が分離した。きっと前側に抱えていた荷物だ。でもパラシュートの紐が絡んでいるのは多分背負っている方の荷物だ。ルクは再び格闘して、やっとザックが背中から離れた瞬間、それが良いきっかけになったらしく、彼のシルエットは開いたパラシュートで隠された!

「いや……ダメだ。あの高度で開いても……」
「え?」

 焦燥したアッシュの言葉が途中で掻き消えた。確かに地面が近過ぎて、落下スピードが緩む距離じゃないかも知れない……もしも木々に引っ掛からずに着陸したら……ルクは山肌に叩きつけられてしまう!?

「ルク! 山から離れろ!!」

 再度叫ばれたアッシュの言葉に、ルクは即座に反応したみたいだった。あたし達が身に着けているのは単なるパラシュートだけど、ルクの物は多少操作が可能なパラグライダーの一種なのだ。上手く風に乗って遠ざかれば、その分地面は遠くなる。けれどそれはあたし達からも遠ざかって、サリファから攻撃される可能性を高める危険性があった。

 そして……危惧した通り、サリファの赤い光線が山頂からルクへと放たれ、危機一髪彼を(かす)めていった!!