満面の笑顔で話を終えたママに、あたしは苦々しい笑いを返した。額にうっすら汗が(にじ)む。何だか嫌な予感がするのは何故だろう??

「おまたせーリル! まずは前菜の茹でアスパラ・フランドル風だよ」

 そんな矢先にママとあたしの目の前へ、ドドーンと円盤のような大皿が見事な着地をした。

「「たーんと召し上がれ」」

 山のような茹でアスパラを前にして……ママとパパの元気な掛け声に、あたしは……二人の愛の深さに溺れ死ぬか、はたまたアスパラの食べ過ぎで倒れ死ぬか……どちらが先だろうかと、頭をフル回転させていた──!!



[註1]ホワイトアスパラガス:フランスでは穂先の(もろ)さから「マドモアゼルの指先」と呼ばれ、柔らかく繊細な歯ざわりと甘みが特徴。グリーンや缶詰とは別格の、ふっくらとして滋味深い春の風物詩です。











*お読みくださり誠に有難うございます*

 この物語は前作の最後:ラヴェルの眠っていた二年弱後より、三年後にリルヴィ誕生 + 更に彼女は十四歳になっていることから、約十七年後の世界となります。

 ですから既にラヴェルは四十歳、ユスリハは三十七歳になっております。