あの一瞬のたくましさは、やっぱり見間違いか奇跡だったのかしら??

 あたしに抱きつかれたネンネのルクは、「キュー……」みたいなおかしな音を発しながら、パタッと倒れてしまったのだ。

 とりあえず彼が正気に戻るまで、作戦会議は再びおあずけになってしまった。

 ルクの寝かされたソファの端に座り、つい驚きと呆れたような眼差しで寝顔を覗いてしまう。その間に残されたあたし以外の三人は、これからについて念を入れていた。

 五分ほどして我に返り、恥ずかしそうに謝ったルクを含めて、再び作戦が練り込まれた。

「……アシュリーがリルヴィちゃんを背負う分、ルクアルノの荷物は多くなるのだから、着陸まではとにかく頑張りなさいネ? グライダーに乗り込んで、中腹上空まで移動したらパラシュートで落下、その時ルクアルノはリルヴィちゃんから離れる分、標的になり易いから気を付けるコト。そしてそれは引き返すグライダーも同じヨ、シアン。山頂とリルヴィちゃんを結ぶ直線上に、極力機体を入れて逃げてきてちょうだい」
「了解、ハニィ。でもそれはハニィも同じだから。例え距離があっても、リルヴィが居ない飛行船はターゲットになりかねない」
「分かってるわ。ワタシも独りじゃないのだから気を付けるわネ」

 そうして見詰め合った二人は……またルクが倒れてしまいそうな、ラブラブな口づけを交わした……!