そんなの絶対に決まってる! 一つしかないあたしの大切な『宝物(プレシャス)』。

「──もちろん、パパとママ、だよ……お姉様」

 あたしは答えた口元を引き締めて、頭一つ半高いお姉様の瞳を見据えた。その時残りの一つが繋がった。

 そうだ……アッシュもルクも、あたしを「家族」として『宝物』と思ってくれたんだ!
 
「そうヨネ、リルヴィちゃん。で……『宝物』って、やっぱり自分の力で手に入れたいモノでショ?」
「え?」

 お姉様の微笑みが、ニヤリと(わら)いに変わった気がしたのは気のせいでしょうか??

「ウフン~これから出発しちゃったりするのヨネー、シュクリ山に!」
「え? ──ええっ!?」

 「無茶しないでくれよ」「バカなことはしないわ」……そんなやり取りをした筈の数分前が、見事に消え去った瞬間でした──!?






   ■第三章■ TO THE PRECIOUS (宝物へ)! ──完──