「さぁ~て! もうこれじゃツパイは来ないわネ。ルクアルノ、アシュリー、準備を始めてイイわヨ」

 じじ様を見送った途端、元気良く声を上げたお姉様に、あたしは不思議そうな面差しを、ルクとアッシュは「待ってました!」みたいな頷きを送った。で……「準備」って何のこと??

「ル、ルヴィ……ボ、ボクちょっと……支度してくるね。じゃ、じゃあまた!」
「え? ──ルク? ちょっ──」

 あたしの台詞が終わらない内に、じじ様に続くように駆けていってしまうルク。「支度」って、自宅で着替えでもしてくるのだろうか?

 アッシュも無言で自室に向かってしまい、シアンお兄様は片付けにキッチンへ、あたしの前には楽しそうな笑顔のタラお姉様だけが残された。んん? 楽しそうってどういうこと??

「リルヴィちゃん、今のアナタにとって『宝物』ってなあに?」
「……え?」

 このところやたらと聞くなぁその言葉──『宝物』。

 『ジュエル』を手に入れるため、『宝物』をエサにあたしをおびき出そうとしたサリファから。あたしをアッシュとルクの『宝物』と称したシアンお兄様から。そして今、あたしにとっての『宝物』を尋ねたタラお姉様から。