精鋭部隊……王家の近衛兵(このえへい)のことだろうか?

 じじ様の優しい眼差しに、あたしはじじ様を安心させようと大きく強く頷いた。でも……やっぱり心はそれを受け入れられない。ママが連れ去られてから、あたしの心はあたし自身にずっと問い掛けているんだ。

 本当にこれで良いの? リルヴィ──!? ……って。

「では……とりあえず失礼するよ。もしツパイが現れたら、悪いが王宮へ連絡をよこしてくれ。こちらも今回の要因が分かり次第、また説明に伺おう。お茶をごちそうさま、タラ。君も身重なのだから、どうか無茶はしないでくれよ」
「ご心配は無用ヨ、ロガール。ワタシも念願の(たまわ)り物なんだから、バカなことはしないわ」

 少しだるそうに立ち上がり、タラお姉様にお礼と忠告をしたロガールじじ様は、素直な返事に満足したようだった。再び焦りながらエントランスを目指し、あたし達への挨拶もそこそこに去ってしまった。