「おはようございますーお兄様! お姉様!」

 開いた扉の正面に対面キッチンがあり、その流しとレンジの奥に、二人が仲良く並んで作業していた。

「おはよーリルヴィちゃん。良く眠れた? って、変な時間に起こしちゃったのはワタシだけど」

 「朝方また蹴られて叫んじゃったのヨー」と隣で不思議がるシアンお兄様に説明をして、タラお姉様は苦笑いをした。

「大きなベッドなので、気持ち良く眠らせてもらいました。あの……ツパおばちゃんはまだなんですね? えっと、アッシュとルクは?」

 キョロキョロと辺りを見回しても、ツパおばちゃんはもちろん、二人の姿も見えなかった。仲良く寝坊しているのかしら? かなり遅い時間だったのだ。まだ寝ていてもおかしくはないけど。

「ツパイはそろそろかしらネ。二人ならとっくに起きているわヨ。シアン、リルヴィちゃんを案内してあげて」
「いいよ、ハニィ。リルヴィ、一緒に行こう」

 シアンお兄様は作業の手を止め、お姉様の頬に熱い口づけをした。洗った手をタオルで拭きながら、あたしを裏戸へ案内してくれる。結婚されてもう十年は経つと思うのだけど、相変わらずアツアツだなぁ~! あ、もちろん「ハニィ」っていうのはタラお姉様のことね。