今朝と同じようにリュックを背負って出てきたあたしを、今朝と同じようにアッシュとルクが待っていてくれた。

 ルク……帰らなかったんだ。

 あたしが荷物をまとめている間に、アッシュがルクに詳細を説明してくれたらしい。全てを知ったルクの表情は益々重くなって、そのせいで視線もずっと下げたまま、あたしと合わせることはなかった。

「じゃあ、行こうか。リル、荷物持つよ。……ルク、騎士(ナイト)がそんな調子じゃ、お姫様が哀しむよ」

 戸締りをしているあたしの後ろで、アッシュがルクを諭していた。そうだよ……ルクが辛そうな顔をしていたら、あたしはもっと寂しくなる……。

「ご、ごめんっ! えと……サ、サー・ルクアルノ……──行きますっ!!」

 いきなり大声で宣言をして、ズンズンと先頭を歩き出すルク。彼なりの励ましのつもりなのだろう。あたしはやっと──うっすらではあるけれど、口元に上向きの弧を描ける気持ちになって、隣に立つアッシュと笑顔を見合わせた。