「ラヴェル! ラヴェル!!」

 ママのパパを探す声は、ずっと先の方でずっと続いていた。

 あたしは息を切らしながら走りに走った。しばらくして向かう方角から、沢山の人が慌てふためきドタバタと押し寄せてくる。きっと王宮に勤める従者や侍女達、宮殿近くの民家の人が、あの紅い光を見て逃げてきたのに違いない。

 あたしは人ごみを()けながら、それでも数人にぶつかりふらついては、ママの後を必死に追いかけた。でもさすがに暗闇の中、人を掻き分けてついて行くなんて無茶に決まっている。あっと言う間に見失って、何とか城門に辿り着いた時、紅い光が一気に強くなった気がした。

 垣根に隠れてパパとママを探しながら、逃げ惑う人が通り過ぎるのを待つ。赤々とした光源はどうやら炎ではないみたいだ。火事ではないのだとちょっとだけ安堵して、けれどそれが光る場所に思い当たり、あたしの心臓はドクンと一つ波打った。

 おばあちゃんの部屋の方向だ……!

 呼吸を落ち着かせ、目指して庭を突っ切った。やがて見えたのは、部屋のすぐ外で揺らめくおびただしい(くれない)の光と、その前に──光へ向け剣を構えるパパだった──!!