「ねぇ~パパ? あの……──いったぁっ!!」

 意を決して言葉を掛けた途端、指先に鋭い痛みを感じて叫んでしまった! って……ピータン!?

「ルヴィがあんまりもったいぶってるからでしょ? さっきから催促してたわよー?」

 ママが救急箱を取りに行って、消毒液を差し出しながらウィンクをした。

「ええ……? ごめーん、ピータン! もうっ、食いしん坊なんだから!」

 折角謝ったものの、最後の言葉でまたご機嫌を損ねたらしい……ピータンは大口を開けて、もう一回あたしの指に噛みつこうとした!

「おおっとおぅ……! ハイハイ、ピータン、ご飯でちゅよー」
「そんな言い方して……また噛まれても知らないわよ~」
「エヘヘ……ホントにごめん! ピータン、機嫌直して~!!」

 テーブルの上でプンプン怒ったピータンに平謝りをして、あたしは仰々しく木苺を三段積みで差し出した。

 ……と、ココでタイム・アップだ。まぁピータンもようやく許してくれたみたいだから、これにて退散しよう。

 あたしはピータンの小さな小さな頭を撫でて、おもむろに立ち上がり、パパとママにおやすみのキスをした。

「あら、もうおネムなの? ルヴィ」
「うん~今日は朝から宿題どっさり片付けたし、お城で食事会なんて慣れないこともあったしね。おやすみなさい~パパ、ママ、ピータン!」

 二人と一匹にそれぞれの挨拶を返されて、あたしは昔パパが使っていた部屋に去った。

 ナイショ事を抱えているのは、何を隠そう誰でもないこのあたしなのだ! 今の内に仮眠して、真夜中に起き出さないとね──!!






   ■第二章■ TO THE PALACE (王宮へ)! ──完──