「それでは王家アイフェンマイアのお立場は?」

 そこで質問を投げたのは、ロガールじじ様と対称の席に座るツパおばちゃんだった。前髪で隠された視線をじじ様と王様に交互に向ける。ってことは、きっとツパおばちゃんにも寝耳に水だったってことだ。周りのざわめきからしても、どうやら誰も知らなかったみたい。このことは王様とロガールじじ様で決めたことなんだろうか?

「王家は『象徴』となることを希望します。ユングフラウよ……政府は国民の為にあるべきであって、王家の都合で動く必要はない……が、今の体制ではどうしても我々の存在が影響してしまう……これでは『ジュエル』に支配されていた時代と変わらないと思うのだよ」
「しかし……」

 王様に諭されて沈黙したツパおばちゃんの表情は、戸惑いを表しているようだった。王家が『象徴』になるってことは、何もしない、つまり手出しをしないってこと、だよね?

「其処で王と私からの提案なのだが……」

 次にツパおばちゃんへ声を掛けたのはロガールじじ様。

 おばちゃんの俯いた(おもて)がさっと上がる。

「国民主体の新政府設立に際し、ツパイ=ヴェル=ユングフラウ、貴殿を首相に任命致します」
「……ロガール様っ!?」

 いつも冷静なツパおばちゃんの口元が、唖然として大声を上げた──!!