入口で出迎えてくれたのは、敷地内の政府機関に勤めるツパおばちゃんとロガールじじ様。青みがかった黒髪を首の後ろで束ねたツパおばちゃんは、何故かいつも長い前髪で目元を隠していて、小柄で細身で……正直言って「おばちゃん」とは言えない外見だ。というのもツパおばちゃんはまだ若い頃、魔法で時間を止められていた期間があるからなの。本当の年齢は五十歳を越えている筈だけど、そのせいで今もまだ二十代後半にしか見えない。

 反面ロガールじじ様はがたいは良いけど、その呼び名の通りすっかりおじいちゃんだ。白髭を蓄えた口元も目元も皺だらけ。でもパパやママが初めて会った時には、もうおじいちゃんだったみたいだから、それは仕方のないことだろう。

「ねぇ、ツパおばちゃん~タラおばちゃんは?」

 一通りの挨拶と我が家の片付けのお礼を終えて、あたしがツパおばちゃんに尋ねたその時だった。

 何だろう……? この背中に感じる寒々しい空気は??

「あら~リルヴィちゃん……ご無沙汰とはいえ、その呼び名はなあに?」
「ひ、ぃ……??」

 声色は明るくてトーンも高いのに、この突き刺さる棘のような雰囲気は──!

「タ、タラおば……あ~いえっ、タラお姉様!!」

 振り返った先には片側のこめかみを引きつらせて、それでも笑顔を保とうとする長身の美女が立っていた!