「おはようございます。おじさん、おばさん」

 正面扉から呼び掛けたあたしの声に気付き、ルクのパパとママがエントランスまで出てきてくれた。ルクの両親だなぁと納得してしまう、温和でのんびりで優しそうな笑顔。ルクはポソポソ~と「……取ってくる」と呟いて、自分の部屋にそそくさと向かってしまった。

「いらっしゃい、リルヴィちゃん! すっかりお嬢さんになっちゃったわねぇ。アシュリー君も一層男前になって!」

 少しぽっちゃりとした小柄な身体を揺らして、ルクのママがつぶらな瞳を弓なりにした。その後ろでうんうんと頷くルクのパパは、反対にほっそりとしてのっぽだ。ルクには六つも離れた可愛い妹シフォンちゃんがいるのだけど、昨日からお友達の家にお泊まりで留守とのことだった。あの鮮やかな赤毛が見られるのを楽しみにしてたんだけどなぁ~残念!

「エヘヘ……ありがとうございます、おばさん。これからうちで一緒に宿題をするので、ちょっとルクをお借りしますね」