「……!?」

 切なそうに首をもたげたおばちゃんの前に、ビビ先生が辿り着いて。

「わたしと共に、生きてください」
「あ、貴方のような素晴らしい方に、私のような者、など……」
「あなたがわたしを素晴らしいと思ってくれるのなら、あなたこそが適任です」

 先生の厚みのある掌が、ツパおばちゃんの小さな肩にそっと触れた。

「い、いえ、師よ……」
「わたしはもうあなたの師ではありません。ビビアンと呼んではもらえませんか?」
「そうヨォ~! それから王家の近衛兵とシアンを救ってくれた時の恩返しも、ツパイ、ワタシたちの代わりにお願いネっ!」
「タ、タラ!? 一体何を──」

 突然現れた高く通る声に、ツパおばちゃんが焦ってつまずいて……ビビ先生のたくましい胸に、その顔を突っ込んだ! 慌てて離れようとするおばちゃんを……ビビ先生はもう、放さなかった。

「あ、あのっ──」
「イヤ~ン、ツパイったら乙女なんだから! 赤毛もなかなかカワイイじゃない!?」
「わたしは以前のあなたの眼も髪も、今のあなたも……大好きです」
「「「キャー!!」」」

 タラお姉さまとあたし、そしてママの黄色い歓声が響き渡る! って……あらまぁ、こんな狭い廊下に全員が揃っていた! ココにいるみんなが証人だよ、ツパおばちゃん。先生が必ずおばちゃんを幸せにしてくれる。

「政治のことは余り分かりませんが、身の回りのことでしたら出来る限りのサポートはしますから」
「あ、ありがとうございます……師、よ……」
「ツパイ、わたしの名前はビビアン、です」
「……ビ、ビ……アン……」

 みんなの手前気恥ずかしいのか、ツパおばちゃんの両手は先生の背中に回ることはなかったけれど。震える肩は泣いているみたいに思えた。

 でもこれも、きっと幸せの涙だ──どうか末永~くお幸せに! 「格好いいビビ先生」と「可愛いツパおばちゃん」!!