「ルク! ルクでしょ!? どうしてそんな所に隠れてるのよ!!」

 あたしはアッシュにストップを掛け、斜め下の小さな影に呼び掛けた。気付かれたことに驚いたのか、少しだけ飛び出していた頭の先が震え、益々隠れようと縮こまり出した。

「ルーク! ルクアルノ!! 何よ~そんなにあたしに会いたくないって訳!?」

 この大声でさすがに観念したらしい。恐る恐るエメラルド・グリーンの瞳が現れたが、それは怯える小動物のようにおどおどとして、ついでにあたしを視界に入れないよう逸らされていた。

「や、やぁ~ルヴィ……久し振りだね……あ、あ、会いたくないなんてある訳ないよ~だったらココまで来たりしないし……た、ただ、ほら……乙女のパジャマ姿なんて、見ちゃ……いけないものかと、お、思って……」
「乙女の……」

 あたしはアッシュとの再会と、また別の意味で唖然とした。同い年なのにどんだけネンネなのよ!?

「あのねぇ~パジャマなんてただの上着とズボンじゃない! よっぽど普段着の方が露出してるのに……タラおばちゃんの透け透けネグリジェでもあるまいし」
「ス、スケスケ!?」

 これ以上からかったら鼻血でも出して倒れてしまいそうだ。あたしはアッシュに降ろしてくれるようお願いをして、窓際のベンチ式チェストに着替えを取りに行った。

「アッシュもルクもお茶飲んで待ってて! すぐに着替えてくるから~!」

 ニコニコ顔で手を振るアッシュと、依然見ちゃいけないと横顔を見せるルクを尻目に、あたしは慌てて化粧室へ駆けていった──。






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