「シュクリ……シュクリ! 誤解よ、聴いて! アタシをずっと困らせていたのはリトスじゃない! サリファが……シュクリがずっと封じ込めてきてくれたサリファが、ねっ! あの、あのねっ!」
「えぇ~……」

 エルムの弁解は焦りのせいか要領を得ず、そうしている間にも益々轟きが大きくなっていく。ともかく……エルムを守ってきたのがサリファって!? そんな嘘っぱち、シュクリが信じる訳がない! でも……これってシュクリの怒り、なの? あたし達は宙に浮いているから衝撃はないけれど、明らかにこの轟音……地面が激しく揺らいでいる!

「シュクリ! シュクリ!! ねぇ、聴いて! リトスは何も悪くないのっ!!」

 エルムの懇願はどんなに大声を張り上げても、地響きに掻き消されてしまっていた。リトスがエルムを奪うと勘違いされているとしたら……この状況ってメチャメチャまずいんじゃない!? ジュエルを宿したあたしがエルムを抱き締めているって……幾ら女の子同士って言っても、リトスがあたしの中に居るっていうのは~でも今この手を放したら、エルム落っこちちゃうよぉ!!

(いか)れよ、ヴェルの神よ……われはこの時を待っていた。この眠りについた五十年余に、如何にリトスがエルムを惑わし、誘惑してきたかを教えて差し上げよう……』
「バ、バカなこと言わないで! リトスはみんなのためにずっと!! え……? 五十年……?」