「ラヴェル、此処は私に任せてください」

 全員の沈黙を破ったのは、ツパおばちゃんだった。

「ツパ……」
「サリファに因縁を持つのは私です。それこそ生まれる以前から……──ですから。私にチャンスを頂けませんか? ちゃんと策はあります」
「ツパイ……」

 真剣なツパおばちゃんの訴えに、その名を呟いたのはパパとビビ先生だった。ツパおばちゃんの言う「策」。それは──

「ツパイ。貴女が変わらず命を賭して闘おうというのでしたら、ラヴェルさんには『ジュエル』を貴女に渡させはしません」
「ビビアンさん?」

 案の定ビビ先生は見通していた。やっぱり憑依したサリファごと、自分の命を絶つことしか策はないと、ツパおばちゃんが考えていると気付いているんだ。

「師よ……サリファの前で露骨な発言はお控えください。今の私はそのような野蛮な策は考えておりません。一番は全国民を守ること……既にサリファはリルヴィとの交渉で、全員の命を保証すると約束致しました。つまり……これから成すべきことは、サリファを滅ぼすことではない。ヴェル国家代表として、お互いにより有益となる道筋を作る──交渉を行うということです。その為には彼女が欲する『ラヴェンダー・ジュエル』は不可欠。ですからラヴェル、どうかジュエルを……僕を首相にと推薦してくれたのは貴方でしょう?」