「もう~行ったり来たり、荒っぽいんだから~!」
「リル、ヴィ……?」

 消え去っていた重力が戻って、あたしは硬い地面からだるそうに起き上がった。ついでにボヤキも吐き出しながら。

 この水の匂い、薄暗い視界……やっぱり元いた鍾乳洞のドーム空間だ。そしてあたしの名を恐る恐る呟いたのは、ビビ先生の帰りを待っているツパおばちゃんだった。

『……ジュエルはまだ到着していないか……が、まもなくだ』
「リルヴィ、無事でしたか!?」

 ツパおばちゃんはサリファの声に警戒しながら、あたしの元へ近付いてきた。その表情はいつになく不安そうだ。おそらくおばちゃんの言った「死よりも惨いこと」が起こってしまったのか否か、それを危惧しているのだろうと察した。

「うん! 大丈夫だよ。ルクとアッシュが守ってくれた!」
「ルクアルノが?」

 歩み寄りながらあたしの背後少し高い位置を望むツパおばちゃん。振り返ってみれば、縦になったカプセルがフワフワと浮かんでいて、複雑な顔をしたアッシュとルクがこちらを見詰めていた。