あたし達が話し合いを終えて十五分ほどのち、ついにサリファが目を覚ました。

『ふん……やはり「弱虫」が一匹逃げ出したか……?』
「サリファ……? 弱虫って……!? 違う! ルクはそんなんじゃない!!」
『ならば何処へ行った? 『ジュエル』を迎えに行ったとでもいうのか? そういうことなら弱虫は撤回してやろう。……にしても。ではリルヴィ、お前はなんだ? 腰が抜けて動けなくなったか? それともアシュリーに鞍替えでもしたか……!?』
「……っ!」

 相当エネルギーを蓄えられたのか、サリファはやたらと饒舌だった。

 もちろん散々探し尽くしたけれど、扉を壊せる物など何も見つけ出せなかったのだ。だから今でもアッシュはカプセルから出られていない。それに成す術もなく寄り添うあたしは、サリファの挑発に悔しさを滲ませつつ、ただ唇を噛み締めることしか出来なかった。

『ほぉ……本当に弱虫ではなかったようだ……』
「え? あっ、ルク!!」

 天井に響き渡る声から視線を移した先に、息を切らして戻ってきたルクが立っていた。

「ご、めん……ルヴィ。一足、遅かった……」
「えっ!?」

 かなり頑張って走ってきてくれたのだろう、ルクの言葉は途切れ途切れで、取り急ぎジュエルを手に入れられなかったことしか分からなかった。数回肩で息をして呼吸を整え、ようやく屈めた腰を戻したルクは、申し訳なさそうに説明した。