あたしは腰掛けていた寝台から立ち上がって、カプセルの前まで歩み寄った。
 アッシュが隠さずに話してくれた胸の内だもの。今あたしに出来る唯一の応援を、ちゃんとアッシュに伝えたい。

「ご家族のこと……あたし、アッシュならきっと出来ると思ってるよ。だってアッシュは言ってくれた……『石は光があってこそ輝くんだ』って。あたしという石はパパとママだけじゃない、アッシュやルクやみんなから光をもらって輝いているのだと思う。だからきっと大丈夫だよ! アッシュはちゃんと周りの人を輝かせられる光を持っているのだから!!」
「……リル……」

 驚いた顔であたしを見詰めるアッシュに、あたしはこれ以上ないっていうくらいの笑顔を向けた。

 ニッと弓なりに細めた瞳に、薄っすらアッシュの笑顔も映る。それは徐々に輝きを増して、あたしという光もアッシュを輝かせているのだと気付かされた。

「ありがとう、リル」
「ううん。こちらこそありがとう、アッシュ」

 透明カプセル越しにお互いの両掌を合わせる。冷たい感触が自分の熱で温かみを宿し、それは向こう側のお互いにも伝わった気がした。

「この目の前の大事件を片付けたら、両親の元へ帰ろうと思う。しっかり向き合って、しっかり話し合って……いつか本当の家族を取り戻せたその時……」

 自分の手の甲に向けていた視線を、少しずつ上昇させた途中に口角を上げたアッシュの唇が見えた。