「それからルクのことだけど……リルを大好きだって叫んだ後、一度も「どもらなかった」こと、気付いてた?」
「え? あ……そう言えば……」

 今回の再会初日からずっと続いていた変などもり。確かにあんなに今までどもっていたのに、先刻のルクは昔と変わらず滑らかに話していたっけ。

「これは僕の勝手な見解だけど、リルに自分の気持ちが伝えられたことで、ルクの中で堰き止められていた流れが元に戻ったのだと思う。何て言うか……吹っ切れたっていうか? 今まで一緒に剣の稽古をしてきたルクは、感情をもっと伸びやかに表に出していた。でも今回リルが来てからずっとあの調子だったからね……ルクがリルに片想いしているの、きっとみんなにもバレちゃったね」
「えぇぇ~……」

 まさかどもっていたルクがいつものルクじゃなくて、ココを去る前のハキハキしたルクが本物だったなんて!

 ヴェルで今までのルクを知っているみんなだったら、さすがに鈍感なツパおばちゃんでも気付いちゃうかぁ……ルクやみんなに再会する時、あたしは一体どんな顔をしたらいいのだろう……なんて思ったら、少し気恥ずかしくなってしまった。

「あぁ……えっと、リルにプレッシャー与えるつもりだった訳じゃないのだけど……ごめんね。それよりそろそろ──」
「あ、ううん。でもあと一つだけ」
「? うん」