驚きの声を上げたのは、ルクとあたし自身だった!

 アッシュがあたしを「奪う」って……どういうこと!?

「ルク、君は気付いていなかったみたいだけど、僕もずっとリルのことが好きだ。でも三年前、君からリルに恋していると聞かされて、君の真っ直ぐなリルへの気持ちに、僕は一度諦めた。だけど先刻サリファに言われて図星だったと自分を恥じたよ……僕はもう自分の家族から逃げない。ちゃんと向き合って、母を助けたい。家族を取り戻したい。それが出来たら……いつかリルに交際を申し込む。ルク、君にだって僕に負けない気持ちがある筈だ。なのに今、それを投げ出すのか? 諦めるのか? こんなことくらいで……終わらせる気持ちだったのか?」
「アッシュ……」

 あたしは……今どんな顔をしていれば良いのか分からなかった。

 メインはルクを叱咤激励しているのだとは理解したけれど、これって……アッシュはあたしに「告白」したの、よねぇ……? 二人のあたしへの気持ちは、その前にサリファが勝手にバラしていたけれど……あたし……こんなこと初めてだから、一体どうしていれば良いのかなんて分からないよぉ!!

「……」

 無言のままモソモソと布団から這い出てきたルクは、同じくどういう表情をしたものかといった戸惑いを載せて起き上がった。

「……そんなんじゃ、ない……」
「ルク……?」

 眼下の布団を見下ろしながら、微かに呟くルク。

 やがてその(おもて)を依然カプセルに囲われたままのアッシュへ向ける。

 そして……一瞬で変わる、決意を秘めた真剣な横顔。

「そんなんじゃ、ないっ! ボクは……ボクだって、ルヴィが大好きだっ!!」

 ──……ひぃやぁあああああ~!!

 お互い「あたしを好きだ」と告げながら、その視線は「あたしに向かっていない」というこの奇妙なシチュエーション! やっぱり……どんな顔して、二人を見たらいいんだってば──!?

 ──もうっ、本当にっ、分かんないよお~~~!!