「ルク……リルヴィだよ。ね、大丈夫?」

 優しく声を掛けて布団の上に手を乗せてみる。すると塊がビクンと大きく跳ねた。

「ルク、あの、ね……」
「き、来ちゃ……ダメだ! ボクは、もぅ……ル、ルヴィに、顔向け、出来ない……」
「ルク……」

 くぐもった声は困惑を露わにしていた。より一層縮こまろうと、ギュッと布団が小さくなる。

 ルク……あの時の記憶があるんだ。その事実は、あたしにとっても衝撃だった。

 でも……強制的な力にあんなに頑張って抗戦してくれた……あれこそがルクだったんだ。

「ルク、あの……」
「ルク」

 どうにか気持ちを切り替えさせなくちゃと思案していたあたしの声掛けに、割り込んできたのはアッシュの声だった。

「ルク、三年前、僕に宣誓したあの気持ちは嘘だったのか? リルを守れる存在になりたいと、剣を取ったあの時の気持ちは」
「アッシュ……?」

 頑なに布団に隠れたルクの震えが、その呼び掛けに刹那に止まった。

「そんな(やわ)な気持ちだったというなら、リルは僕が奪う」
「「……え?……」」