「……えっ! え!? ……えぇ~……?」

 ダ、ダメだ……そろそろあたしの脳ミソがついて行けない領域になってきた……!

 サリファが……「悪い人達の心の集まり」!? ちょ、ちょっと待って……それじゃあサリファは人間じゃないってこと!?

 ──あぁ……もう、時間ないかも! リルヴィ、良く分からなくても聴くだけ聴いて! 悪い心(サリファ)はいつもはシュクリが見張ってくれているのだけど、封じ込め続けるのはとっても大変なことなの! 消耗した力を取り戻すため、シュクリは六百年に一度、五十年から六十年くらい眠りについて、その間はアタシが代わりを務めるのね。でも……まだまだ未熟なアタシは、すぐサリファに乗っ取られちゃって……いつもこんな騒動が起きちゃう。今まではシュクリが目を覚ます前に、ジュエルが元に戻してくれていたのだけど、サリファは甦る度にどんどんずる賢くなって、とうとうこんなことになっちゃって……だから、ね……みんな、アタシの、せいなの……ごめんね、リルヴィ……本当に、ごめんなさい……
「エルム……」

 目の前の少女(エルム)は徐々に涙目になって、ついには泣きながら謝った。

 まだ良くは理解出来ていないけれど、シュクリやエルムやジュエルのお陰で、ヴェルが今でも成り立っているのだってことは、あたしなんかでも何となくは分かる。だからこそ、エルムを責める気なんて毛頭ない! そんな想いを伝えて、ようやくエルムは泣きやんだ。

 結局『名もなき少女(エルム)』はサリファじゃなかったんだ……でも、今この時、サリファはルクだけでなく、エルムまでも乗っ取っていて……この状況を今までどうにかしてきたのはジュエルだった。ならば……やっぱり何とか出来るのはジュエルしかいないってことだ!!