「ルヴィ~今日の分、終わらなかったのだから、明日ちゃんとやってからピータンと遊ぶのよ?」
「げっ! ヴェルにいる間まで宿題やるの!?」
「当たり前じゃない。何のために持ってこさせたと思ってるのよ」
「ふぇ~ん」

 行き帰りだけかと思っていたのに。ヴェルでの想い出がドリルで終わっちゃうよぉ!

「きっと『二人』が協力してくれるでしょ? あ、でもあんまり教えてもらうばかりじゃダメよー自分でちゃんと考えなさい」
「二人? ああ……『二人』ね~。でもちゃんと会えるのかなぁ?」

 あたしは首を(かし)げながら、カプセルの端にしゃがみ込んだ。だって一人はヴェルに住んでる訳でもないし、もう一人だって……変に恥ずかしがり屋さんだからなぁ。

「明日の朝、目が覚めたらもうヴェルなんだから、きっとすぐに答えは出るよ。早起きしないと寝ぼけ(まなこ)で会うことになるから、もう休みなさい、リル」
「そうよぉ~おやすみ、ルヴィ」

 自分の膝に頬杖を突いて考えあぐねてしまったあたしを、パパとママは促しながら笑った。以前は数日掛かったヴェルまでの旅路も、飛行船の発達と……実はヴェルが少しずつ大陸に近付いていることによって、かなり短時間で辿り着けるようになったのだ。

「おやすみなさい、パパ、ママ、ピータン」あたしはもう一度二人と一匹に挨拶をして、カプセルの中にそそくさと潜り込む。

 三年振りに会う『二人』はどんな風に成長したのだろう? 変わらぬ笑顔であたしを歓迎してくれるだろうか? そして、あたしは? あたしも『二人』と同じ気持ちで、笑顔の再会を果たせるだろうか──!?