『良いだろう。その条件、快く呑んでやるよ……われの野望は「支配」することであって、「死滅」させることじゃない。その為にも……ノーム、お前はウルの許へ戻り、早急に『ラヴェンダー・ジュエル』を手に入れよ。それまでルノは人質だ。まだ重要な役目を果たしてもらう必要もある故……』
「え!? ちょ、ちょっと待って! ルクを解放してって言ったじゃない!!」

 あたしは慌てて声を荒げた。早くルクを元に戻して、おばちゃん達と逃がしたいのに!

『もちろん解放してやるよ、「任務」を終えた後にね……これまでもわれはしっかり約束を守ったであろう? ユスリハの時も、ルクアルノとアシュリー、一人を選べと問うた時も』
「そうだけど……」

 そうだけど、そうでありながら、結局結果的には(あざむ)かれてきたんだ。だから今この時点で、サリファを信用するなんて本当は有り得ない。それでもみんなの命が守られるのならば。例えルクの解放を先延ばしにすることが、あたしへの脅威になるとしても──