涙を(こら)えて唇を真一文字に引き結んだ。辛いのはあたしじゃない。あたしが泣いてもどうにもならない。それよりも……まずはルクを取り戻すこと、ツパおばちゃんを解放すること、そしてビビ先生とおばちゃんがどうにか一緒にいられる道を探すことだ。

「寝過ごしてしまったでしょうか? おはようございます、リルヴィ、師よ」

 小一時間ほどしておばちゃんが、更にアッシュがテントから出てきて挨拶をした。時計を確認した二人が安堵の表情を見せる。未だ六時ちょっと過ぎだもの、あたしが先に起きていたから焦ったのだと思うけれど~?

「早いね、リル。ちゃんと眠れたの?」
「う、うん! 眠る前にパパとママとピータンが見えたから……もうお家にいたけど、ピータンから『ジュエル』が出てきたら、ママはタラお姉様の所へ行って、パパはあたし達と合流するって言ってたよ」
「そう……出来ればそうなる前に解決させてしまいたいね」

 アッシュはあたしの差し出したゴザに腰を下ろしながら、薄い笑みを(たた)えた。

 ツパおばちゃんもビビ先生から渡されたゴザに座り、神妙に話を切り出した。

「では、これからのことを話し合いましょう。本来ならルクアルノによって捕獲されないよう、リルヴィの脱出を一番に考えたいところですが、今の状態で二手に分かれるのは得策とは思えません。最も近い出口までには、あの鍾乳洞を通らずにはおられませんから、ルクアルノの救出を優先することにして、全員で向かうことに致します。そうなればリルヴィが危険に晒されるのは必至、リルヴィには極力師の傍に居ていただくことにして、アシュリーと私が救出と援護に集中します」