『ツパと、ツパに弓を教えたビビアンという青年が、リル達を救出にシュクリの火口へ降りてくれた。ピータンからジュエルを取り出せ次第、自分も合流しようと思う。ユーシィはタラの所に居てくれないか。君を独りにはしたくない』

 そう言ったパパの声はとても苦しそうだった。その胸に寄せたママの髪を撫でて、パパは深い溜息を吐き出した。

『ええ……タラが良いと言ってくれれば。ジュエルは今もピータンのお腹の中なのね? ピータン、大丈夫?』

 ママは眼下のピータンに、心配そうに手を差し伸べた。その掌にちょこんと乗ったピータンを見詰めて、ママはほんのり微笑んだみたいだった。

「ママ……」

 ピータンの視線と合ったママの温かな眼差しは、まるであたしに向けられているように重なった。ママ、あたしはどうしたら良いの? このままみんなに迷惑を掛けながら、守られていることが本当に望ましいと言えるの??

『ね、ラヴェル。行く前に、お願いだから全て話して。今回の帰郷で貴方が動いたのは何故?』
『……それ、は』

 ママはパパから身を起こし、ピータンを両手で包み込んでパパに相対した。パパを見上げたピータンの視界には、僅かに口ごもるパパの辛そうな表情が映り込んだ。