仕方なくおばちゃんに(なら)い、あたしもブランケットに身を委ねた。

 おばちゃんとは逆方向に寝返りを打って、眉根を寄せたままの瞳を開く。

 結局あたしは足手まといなままなんだろうか? 『ジュエル』の力でサリファをやっつけるのが、一番手っ取り早いと思うのだけど? 『ラヴェンダー・ジュエル』がピータンのお腹から出てきて、宿主として復活したパパがサリファを倒すというのなら、一体どれくらいの時間が必要なの? それまでにルクを無事取り返せるの? そうしている間に……サリファが全ての力を取り戻したら、ヴェルはどんなことになってしまうの??

「あっ……」

 再びあの温かい感覚を瞼の奥に感じて、あたしは微かに声を上げてしまった。ピータンが起きたんだ……見える視界は薄暗かったけれど、見覚えのある家具の配置が確認された。これ、パパとママの寝室だ……ベッドサイドに上半身を預けた広い背と、ベッドから起き上がった細い横顔が見える。看病しながら眠ってしまったパパと、目を覚ましたママ──二人は家へ戻ったんだ!

『……ユーシィ?』
『あ……起こしちゃった? ごめんなさい……随分取り乱してしまったみたいで……』

 ママに吊られたようにパパの後ろ姿が起き上がって、二人はお互いを気遣うように寄り添った。ピータンはそれに気付いて、二人の見えるベッドの上に飛んでいった。

『本当にごめん……自分の所為でリルが……』
『違うわ、ラヴェル。あの時ルヴィを優先しなかったわたしが悪かったの。貴方を信じて、わたしはルヴィと一緒に家へ戻るべきだった……なのに』

 ママの言う「あの時」って、パパを追いかけている途中王宮の空が赤く光って、ママがあたしに「帰りなさい」と言い残した時のことだ。違うよ……あの時ママの言うことを聞かなかった、あたしが一番いけなかった。