「ジュエルが何故ラヴェル達との生活を選び、貴女を次期継承者に選んだのかは存じません。が、ジュエルも二人の望みを知ったからこそ、貴女の「眼」になることだけで満足してきたのだと思います。ですから、どうかこれ以上の力は望まないでください。貴女が力を求めれば……二人が悲しむことになります」
「う……」

 まただ。また……何も出来ない。

 あたしは沈黙して俯いてしまった。

 パパとママの気持ちは分からないでもないし、そう想ってくれるのは本当にありがたい。でも……ココであたしがジュエルの力を目覚めさせられれば、この事件は早急に解決出来るのかも知れない。

「それと……ルクアルノのことですが」

 あたしが反論を始める前に、おばちゃんは話題を変えてしまった。ルクのことって……何だろう?

「アシュリーが言っていましたね、サリファにとってルクアルノには利用価値があるのだと。おそらく彼女はユスリハの時のように捕らえておくだけではなく、彼を取り込もうとするでしょう。そして……ルクアルノは遅かれ早かれ取り込まれてしまうと思われます」
「え!? あのっ、だって……ルクが名前の後半を呼ぶ許可をサリファに与えなければ、サリファはルクを自由に出来ないでしょ!?」

 ツパおばちゃんの思いがけない未来予測に、あたしはつい声を荒げていた。外で番をしてくれているビビ先生と、隣のテントで休んでいる筈のアッシュにも聞こえてしまっただろうか?

「仰る通りですが……だからこそサリファはルクアルノに取引を持ち掛けるに違いありません。その天秤に乗せる物が貴女の「命」であるのか、もしくは私の「解放」であるのか……分かりませんが」
「ツパおばちゃんの……解放?」

 名前の後半をなかったことにして、サリファの束縛から逃れた筈のツパおばちゃんなのに、今でもサリファに囚われているってこと??