「あ、あの、でも……ルクは?」

 救出を一番に、と言ったのはツパおばちゃんなのに……見つけずに出ちゃって良いものなの??

「この火口底から出口までの間に、あの大昔「四人の少女」を隠した鍾乳洞があります。火口を降りる間に攻撃を仕掛けてこなかったことから考えてみても、サリファはそちらを拠点にしているのでしょう。もちろん私達を無事に帰すつもりなどない筈ですから、会いたくなくとも会うことになるとは思いますが」
「た、確かに……」

 おばちゃんの言葉に納得しながら、色んな想いが溢れて言葉が詰まった。危険も(かえり)みず、命懸けであたし達を助けに来てくれたツパおばちゃんとビビ先生。あの『ジュエル』の見せてくれたヴィジョンの洞窟が、このシュクリの森に在るのだということにもハッとしてしまう。やっぱりサリファは、あの時の少女なのかも知れない。

「ルクが囚われているのは、本当にその鍾乳洞なのかも知れません」

 隣を歩くアッシュから、少しばかり緊張した声が聞こえた。幽かに浮かび上がる彼の横顔は、導き出された確証に自分でも驚いているみたいに見えた。

「リルにも話したね? ルクと僕がサリファの光に取り込まれていた時、此処よりもう少し明るくて、もっと湿気を感じたって。あの水の()が鍾乳洞ならではの物だったとすれば……それに水の(したた)る音も遠くで響いていた気がするんだ。だからあのままあの場所にルクが居てくれたら、必ず遭遇出来ると思うよ」
「よ、良かった! ルクが見つかれば、みんなで帰れるね!!」

 ──そして……その時こそ、ジュエルの力が必要な筈だ。その時こそ……あたしの中に眠るジュエルの力が必要な筈!!

 ようやく火口底の端に到着し、ビビ先生はライトをかざして岩壁を照らした。左下の地面に周りよりも暗い丸い陰が出来る。それはカプセルが何とか通れる程度の小さなトンネルだった。先生はその中へカプセルを押し込みながら四つん這いに進み、ツパおばちゃん・あたし・アッシュとその後を追った。