「やっぱりツパおばちゃんのお師匠様って凄いー!!」

 軽々とカプセルを頭上に掲げ、優しく地面に降ろしたお師匠様に、あたしは両手を上げて喝采を送った。そんなあたしを見て、手前のおばちゃんが不思議そうに首を(かし)げる。そうだ、そう言えば……!

「リルヴィ? どうしてこの方が私の師だと断定出来たのです?」

 ……あたしが知っているのっておかしいもんね!?

「え、ええと~実はさっき『ジュエル』がヴィジョンを送ってくれたの……飛行船の中のみんなの様子を」
「……なるほど。今でもジュエルはピータンの体内ですから、ジュエルの影響を受けた者同士、更にリルヴィとピータンには深い信頼関係が成立していることにより、上手く波長が合ったのでしょうね」
「……な、なるほど~!」

 分かったようなそうでないような状態のまま、とりあえず苦々しく笑ってしまった。ツパおばちゃんは「()られていた」ことに少々バツの悪そうな表情を見せたけれど、後ろで微笑ましく見守るお師匠様は、自分が既に認知されていることを喜んだみたいだ。

「改めまして、リルヴィ様。ビビアン=ヴェル=グレイでございます。ご無事で何よりでございました」
「さっ、様だなんて~……リルヴィでいいです、お師匠様!」
「ではわたしもビビとお呼びください」
「それじゃ……ビビ先生。心配を掛けてしまって、本当にすみませんでした」

 ツパおばちゃんの隣で(ひざまず)いた「ビビ先生」は、ニッコリ笑ってあたしの右手を取り、自分の額に(うやうや)しくその甲を触れさせた。ヴィジョンで見た通りの大きな身体に柔らかい雰囲気、こんな状況でも何とかなる気がしてくるのは、ビビ先生の持つドッシリとした抱擁感と、厚みのある手の温かさからなのだろう。