おばあちゃんはあたしに沢山のお話をしてくれた。王宮での華やかな暮らし、パパのパパとの幸せな出逢い、パパが生まれた時の嬉しかった想い出……なのにパパは──

「パパのママはずっと昔に亡くなったんだ。だからそれはただの夢だよ」

 何故だかちょっと怖い顔をして、それきりパパは何も言わなかった。

 あたしだって分かってたよ。パパのママはとうのとっくに死んじゃったんだって。でもこれって導かれたのだと思ったんだ。だってあのベッドはパパのママが、まだお姫様だった時に愛用していた物だったのだから。

 パパのママはきっと天国から、あの部屋のあのベッドの(あたし)に会いに来てくれたんだ。

 なのにパパは次の訪問からジュエルを保管庫にしまうことと、王宮には泊まらないことを決めてしまった。

 悔し紛れもあったのだと思う。まともに話を聞いてくれなかったパパとママに、あたしは夢の続きを話さなかった。

 ──リルヴィ……おばあちゃんと約束しましょ。次に来る時から三回目、貴女が十四歳になる時よ……おばあちゃんの宝物の()()を教えてあげる……だから必ず此処に来てね……ジュエルと一緒に……必ずよ……

 あたしは『宝物』という言葉にワクワクした!

 そして今回がそれから三度目の訪問で、あたしが十四歳の帰省に当たる。

 あたしはまたおばあちゃんの優しい声を聞けるだろうか?

 宝物の在り処を教えてもらえるだろうか?

 知ることが出来たあたしは……宝物を手に入れられるだろうか──!?