「アッシュ、見て! 火口が……ふさがっちゃった!?」

 見えない理由はきっとそういうことだ。一直線に天を示した指先に吊られて、まだしゃがんでいたアッシュの身丈があたしを追い越した。

「もしかしたら……火口の真上に何かいるのかも。飛行船かも知れない」
「ホント!?」

 あたし達は息を呑んで上空の様子に目を見張った。もしアッシュの言う通りならば、パパ達がお師匠様の飛行船で飛んできたのに違いない。でもどうやってあたし達を助け出そうというのだろう? 火口の間口は飛行船がスッポリ入るほど大きかっただろうか? 降りてこられたとしても、再び浮上して真っ直ぐ上へ逃げるなんて、飛行船ではそう簡単に出来る芸当じゃない。

「あっ、何かが……見える? リル」
「え? あ! うん……二つ!!」

 真っ黒だった天井に、あの小さな空が戻ってきた。でもその丸い光の中に黒い点が二つ。それは段々大きくなって、丸い赤と青になった。赤い、青い……パラシュート!!

「アレって緊急用のカプセル・ベッドよね!? 誰かが入ってるのかしら??」