小さな薄明かりを囲んでの簡素な食事は、それでもお互いの笑顔が彩りとなって、いつになく美味しく感じられた。

 干したハムとスモークチーズが僅かに見つかったので、缶パンに挟んで頬張る。水筒に汲んでおいた清水に、粉ミルクと蜂蜜は溶けきれなかったけれど、ほんのり甘いハニーミルクも飲むことが出来た。

「ね、アッシュ。サリファが二人を連れてあたしの前に現れた時、二人に触れようとしても出来なかったの、気付いてた? あの時アッシュとルクはどういう状態だったの? あたしの前にはいなかったの??」

 お腹が落ち着いたところで、ふと思い出したことを口にする。もしあの時あたしが二人に触れられていれば、二人を光から引っ張り出せたのかも知れないし、逆を言えばあたしも光に吸い込まれてもおかしくなかったのかも知れない。

「うん、気付いたよ。ルクも僕も、実際リルの前には居なかったのだと思う。だからリルは幾ら手を伸ばしても、僕達に触れることが出来なかった。あの時僕にもリルは見えていたけど、僕達の周りは今よりもう少し明るくて、もっと湿気の感じられる場所だったんだ。あれは一体何処だったのか……それからすぐに僕は此処へ飛ばされたから、それほど離れてはいないと思うけどね。今も其処にルクが囚われているのなら、何とかしてその道筋を見つけ出さないと」