それからママはエンジンルームの再点検に向かい、パパはヴェルで待つ皆のために用意したお土産をテーブルに広げ、改めて整理をし始めた。あたしはその隣で春休みの宿題に独り立ち向かう。案の定向かうだけで埋められてはいないけど。

 ヴェルに帰省するのはいつも三年に一度だから、あたしが初めてヴェルを訪れたのは二歳の頃だ。さすがにその時を覚えてはいないものの、沢山の人に歓迎されたってことは聞いているし、実際五歳で帰った時の歓待振りは微かな記憶がある。

 パパとママと旅をしたツパおばちゃんにタラおばちゃん、ツパおばちゃんと仲の良いボーダー・コリーのアイガーに、政府をまとめるロガールじじ様。王宮のみんなもとても温かく迎えてくれる。あたしはあの煌びやかでだだっ広い王宮が大好きだ。何故ってアイガーやモモンガのピータンと、自宅の庭と変わらず悠々と駆け回れたし、何しろ……片付けなさい~ってうるさく言われないのだもの!