「ルク! 僕の肩に乗れ!!」
「えっ? う、うん!」

 アッシュが突然ルクに叫び、その背を彼に向け屈ませた。ルクは返事もそこそこに、アッシュの腰によじ登る。両肩を踏み締めた途端、真上へ勢い良く立ち上がったアッシュの力によって、飛び上がったルクの伸ばした両手が、かろうじてあたしの右足首を握り締めた!

 掴まれている感覚はあるけれど、全身が硬直しているせいか重みは感じない。

「ルク! 持ちこたえろ!!」

 そう叫んだアッシュが今度は自力でジャンプして、あたしにぶら下がったルクの左膝を掴んだ! アッシュは大きく前後に身体を揺らし、振り子運動を始めた。その反動を利用して思い切り飛び跳ね、ついにはあたしの右手首を捉えた!

「ア、アッシュ! ルク!!」
『仕方がない、一時退却だ……ウルよ……三人を取り戻したくば、次こそは『ジュエル』をわれの手に!』
「リル!!」

 パパはあたしの名を呼びながら、あたし達の(もと)を再び目指していた。けれどアッシュとルクごとあたしは完全に吸い込まれて、光の柱は地面を滑り、パパ達から後方へ離されてしまった。

 物凄いスピードで向かった先は……シュクリの火口? 大きな空洞の真中に浮遊したと思ったのも束の間、あたし達三人は一気に奈落へ落ちてゆく!?

「パパ!! ママ!!」

 光の中から呼び掛けた音声は、二人の耳に届いただろうか?

 気を失う瞬間あたしの瞳に映ったのは、地べたに四つん這いになったまま悲痛に叫ぶ……ママの泣き顔だった……

 (いただき)に木霊する、あたしを求めるママの絶叫。

「ルヴィぃぃぃぃぃぃ──!!」

 ──ごめん、なさい……ママ……──






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