「リル!!」

 まもなくあたしが光の中へ取り込まれるという頃、パパの伸ばした手も、あと数センチの距離まで迫っていた。その大きな手に自分の手を差し伸べたい。だけど浮遊する身体は指一本ままならない上に、突如上方へ吹き上げられてしまった。光の中から伸ばしてくれたママの手も、ずっと下方へ消えてしまった。

「パパ! アッシュ! ルク!」

 パパの後ろに続くアッシュとルクの必死な表情も横目に入った。どうしたらいい? どうしたらいい?? お願いせめてママだけでも……!!

『約束だ、ウル。愛妻を返してやるよ、ほうら受け取れ……』
「……何っ!?」
「ママ!!」

 邪悪な声があたしとパパの間に割り込んで、その言葉通りママが光の中から放り出された! けれどママの身体はサリファの声と同じく、あたしとパパの間に割り込んで、パパのあたしへ向けた両腕の上に……投げ落とされた!?

「ユーシィ!!」
「ルヴィ!!」
「パパ!! ママ!!」

 パパとママとあたしの声がシンクロした。