どうしたらいい? 今のあたしに何か出来ることは??

 ふらついた足横に硬い何かが当たる。拘束されていて見えないけれど……これ、きっとルクが(ほう)った剣だ。

 ルクがジュエルを手に入れて、ママが解放される時、どうにかこの剣が使えないだろうか?

 あたしは剣がママ・ザイーダの視界に入らないよう、出来るだけ胸を張った。見ればルクは既にパパの目の前に立ち、この状況を説明している。

「もうすぐだ……もうすぐジュエルが、われの手の内へ……」

 近い未来の成功にほくそ笑んだサリファには、周りのことなどもう見えてもいない様子だった。てことは、ママが解放される瞬間、それがきっと唯一のチャンスに違いない!

 パパがこちらを見下ろしたことに気付いた。二人の周りに集まったツパおばちゃんとアッシュとアイガーも、不安そうに目を向けたことが感じられた。

 口惜しそうな(おもて)へ向け、徐々に上がってゆくパパの右手。まるで応えるように淡い紫の光を発するラヴェンダー・ジュエル。ついにパパの掌に取り出されて……

「今だっ!!」
「えっ?」

 嬉しそうなサリファの声が大きく放たれ──と同時にママではなく、あたしの身体が解放された!? でも──

「きゃあっ!!」

 あたしはママ・ザイーダに力一杯背中を押され、岩壁の向こうへ突き飛ばされた。驚いたあたしは硬い地面に手を突きながら、つい叫び声を上げてしまった。

「ルヴィ──!!」
「あ……」

 聞こえてきたのは……赤い光線(サリファ)に捕えられているママの、あたしを呼ぶ声だった──!!