「……えと……あの……その……」
「??」

 随分もったいぶるなぁ~そんなに何が恥ずかしいのよ!?

 木々の合間を抜けながら、斜面を下りてゆくルクの足取りは、高揚と共に速まっていった。

 いや、それってもしかして、答えるのが恥ずかしくて、急いであたしの前を歩こうとしているの?

 追い抜かれぬようにあたしもスピードを高めた。いつの間にか競歩みたいな足並みで二人山を下りながら、それでもなかなかルクは答えなかった。

「ねぇ、ルク! どんな理由でルヴィって呼ぶのよ!!」
「え、えぇ~? ……ぜ、絶対、笑わない??」

 笑わない? って~笑える理由な訳!?

 攻撃的な鋭い視線にようやく覚悟を決めたのか、ルクは歩みを緩め、ついにはあたしに身体を向けて足を止めた。いきなり立ちはだかった前身頃に、危うく体当たりする手前で急ブレーキを掛ける。もう~まったく危ないなぁ!

「えっと、ね……「ルヴィ」って、ボ、ボクの「ルクアルノ」と同じ、「ル」で始まるから──」
「えっ!?」

 そ、そ、そ、それだけ!?

 あたしの眼も口も、一気に最大に開かれた。

 ビックリ仰天! 思わず顎が外れてしまうかと思ったよ──!!